剣形:鎬造、庵棟、元身幅広く、中間反りに先反りやや強く付き、物打付近張る。鎬筋高く、鎬地は棟にむかって肉落ち、中峰のびる。
鍛肌:地肌板目肌に杢目を交えて詰み、鎬地に処々流れ肌交じり、鎬筋寄りに映りたつ。。
刃紋:浅く湾れ、匂口やや深く、小沸つき、小の互の目、小丁子交じり小足入り、打ちのけ、二重刃、砂流し太い沸筋かかり、刃中よく働く。
中心:鑢目勝手下がり、目釘孔二個、刃上栗尻。表に居住地と俗名入りの長銘、裏に永正十六年二月日の年紀がある。
帽子:表は乱れこんで掃きかけて、裏は直調子に小丸に返り、ともに返り深く焼き下げる。
古刀祐定一派の頂点である初代の彦兵衛慰の作で、与三左衛門祐定の父。身幅広く、重ね厚めで鎬地は棟にむかって肉落ち、切先延びてふくらつく先の張った勇壮な姿で、注文打にまま見られる「備前国住」と切り、さらに連続しての俗名、刀工銘、裏に年紀の入るのも好ましい。戦国の世にあって特有の寸を抑えた片手打の姿は均整とれて凛とした貫禄をたたえ、俗名入の祐定の作は稀で地刃ともに頗る出来が良い打刀である。上研。
金着せ二重はばき、白鞘入り