A43773

脇指 銘 藤原包重 附)黒石目地塗鞘脇指拵

新刀 江戸時代前期(寛文頃・1661~) 尾張
刃長 45.7cm 反り 1.0cm 元幅 31.0mm 先幅 22.1mm 元重 6.7mm

特別保存刀剣鑑定書特別貴重刀剣認定書

附)黒石目地塗鞘脇指拵



 

剣形:鎬造り、庵棟。身幅広く刃棟区ともに深く、元先の重ね厚くついてふくら張る堅強な造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌詰んで棟寄り流れごころ。地沸が厚くつき、鍛肌に呼応した精緻な地景が肌目を縫うように表出する潤いある地鉄。
刃紋:区下より長く焼きだし大きく五つに湾れて、菊花丁子を交えて丁子足長くはいり、刃中匂充満して霞立ち明るく澄む。
中心:生ぶ。鑢目は大筋違、茎尻は刃上がり栗尻張る。目釘孔一個。掃表鎬筋上にはやや小振りで『藤原包重』の銘がある。
帽子:表裏ともに直ぐ調子に焼刃強く中丸に返る。

 尾張犬山城下の『包重』は名を杢右衛門といい、犬山鍛冶屋町に住した。『犬山里語記』に拠れば「鍛冶屋町銘鍛冶包重杢右衛門は、姓生駒氏、本国大和で包永の子という。大坂に暫く住み、大阪の陣のあと、美濃国の文殊四郎をたよって関に喜多が、四郎の指図によって犬山兼常の弟子となり、元和四年戌午犬山鍛冶屋町に住した・・」と記載がある。『尾州犬山住藤原包重』、『尾州住包重』などの銘がある。犬山城下余坂に屋敷を賜り幕政時代を通じて成瀬家に仕え、八代包重のとき明治維新を迎えたという。

附)黒石目地塗鞘尾張脇指拵全体写真/刀装具拡大写真
  • 縁頭:蜘蛛に御所車図、赤銅地、高彫、金色絵、無銘、尾張興善寺
  • 目貫:知勇図、赤銅容彫、金色絵
  • 鐔:花弁透図、鉄地、丸形、地透、無銘
  • 小柄:能楽図、赤銅磨地、高彫、色絵、無銘、尾張興善寺
  • 柄:白鮫着、鉄納戸色細糸組上蛇腹菱巻
金着せ二重はばき、白鞘付属

参考資料 : 本間薫山・石井昌國 『日本刀銘鑑』 昭和五十年