S70320(W5009)

脇差 銘 相模守藤原泰幸 寛文八年二月吉日 附)黒石目地塗鞘脇指拵

新刀 江戸時代前期(寛文八年/1668) 尾張
刃長53.5cm 反り1.0cm 元幅30.0mm 先幅21.0cm 元重6.3mm

特別保存刀剣鑑定書

附)黒石目地塗鞘脇指拵

 

剣形:鎬造り、庵棟。反り浅くつき、元身幅が広く、元先の幅差がややついて中豊鋒に結ぶ姿。(刀身拡大写真)
鍛肌:地鉄は板目肌流れ柾がかり相対に肌目たつ。地錵ついて白けごころの映りがたつ。鎬地は柾目肌が密に詰む。
刃紋:元は浅く湾れて焼きだし、小錵本位の小互の目、尖り刃、蛙子丁子を交え、処々跳び焼があり、相対焼刃高い所謂大乱れ刃。刃中は匂いを敷いて足入り賑やか。
帽子:横手下で鎮まり僅かにのたれて、先中丸となりやや深く返る。
茎:生ぶ、鑢目大筋違。目釘孔壱個。茎尻は剣形。茎棟は小肉ついて大筋違の鑢目がある。佩表の鎬筋上に七字銘『相模守藤原泰幸』の銘、裏には『寛文八年二月吉日』の制作年紀がある。
 初代の『泰幸』は本国美濃、慶長十五年二月の名古屋城開府に伴って、名古屋城下南長島町(現在の名古屋市中区栄二丁目)に移り鍛刀に従事、能登守を受領した。『能登守泰幸』は寛永八、十三、十五、十八、二十の年紀銘がある。
 本作は『能登守泰幸』の実子、二代『相模守泰幸』の作刀。名を『新兵衛』といい、初代とともに名古屋城下、長島町に住した。寛文五、七、八、十の年紀銘を慧眼する。初代に比して銘鏨・茎鑢ともに深いことが特徴で、茎尻が初代は刃上がり栗尻であるのに対して、『相模守泰幸』のそれは剣形となるようである。

 この脇指は、武勇の誉れを尊ぶ尾張武士の貫禄充分に、威風かつ強靱な体躯を保持している。頗る強く冴えた地鉄に大乱れを焼き、併せて寛文八年の制作年紀も貴重な優品である。

附)黒石目地塗鞘脇指拵 (拵全体写真 表・裏/刀装具拡大写真)
  • 縁頭:能楽図、赤銅石目地、高彫、色絵、無銘
  • 目貫:薪束図、赤銅、容彫、色絵
  • 鐸:六角図、真鍮地、鋤下彫、毛彫、無銘
  • 小柄:胡桃散図、赤銅魚子地、高彫、色絵、無銘
  • 柄:白鮫着、紺色常組糸諸撮菱巻
金着せはばき・白鞘付属
参考文献・資料:
『尾張刀工譜』 名古屋市教育委員会、昭和59年3月31日