T316643(W2895)

脇指 銘 尾州犬山住自広造

新刀 江戸時代前期(万治頃/1658~)尾張
刃長 37.5cm 反り 0.8cm 元幅 32.1mm 元重 7.0mm

特別保存刀剣鑑定書

 

剣形:平造り、庵棟。寸延びて、身幅広く重ね厚くつく。先反りがつき元先の幅差さまでつかない雄渾な体躯。はばきを含む刀身重量は388㌘あり手持ち重厚。(刀身拡大写真
鍛肌:板目の肌目たち、棟・刃より流れる肌合いを交えて白けごころの映りたち地景はいる。
刃紋:短い湾れで焼き出し、匂い勝ちに小沸ついた互の目に丁子刃・尖り刃を交え、砂流し・沸筋かかる。処々湯走り、跳び焼きかかり、ふくらあたりは『皆焼』となり、棟焼きに繋がる。
帽子:焼刃強く乱れ込んで表は大丸、裏は中丸となる。
中心:生ぶ。茎は刃側を舟底風に卸して栗尻に結ぶ。鑢目は急角度の檜垣の鑢目。棟方小肉ついてここには勝手下がりの鑢目。佩表の棟よりに大振りな鏨運びで『尾州犬山住』の駐鎚地、つづいて『自広よりひろ造』の三字銘が刻されている。

 『犬山里語記いぬやまりごき』によると、『自広よりひろ』は美濃国関の産。はじめ幼名を『又八』、のち『高木清太夫』と名乗った。犬山城主『石川備前守貞清』の招きで関より尾張犬山鍛冶町に移住。初銘を『濃州住摂津守藤原自広』、『摂津守藤原自広』などと鏨を運び、犬山移住後は『尾州犬山住自広』などの駐鎚地を冠した銘をきる。明和頃の二代、寛政の三代までつづいた。
 表題の平造脇指は、尾張新刀の優質が顕著に示された一口。寸延びて重ね厚く、身幅が広く、ふくら張って先反りを加えた力強い姿。深く練れた板目の鍛えは刃寄りおよび棟寄りに柾目肌目が組み込まれて肌目を強調するように地景がはいる強靭な肌目。刃文は処々尖りごころを交えた大乱刃は跳び焼き頻りとかかり、所謂『皆焼』となる。刃縁は小沸の粒子で刃縁明るく一際冴えている。
金着せ一重はばき、白鞘入。

参考文献・資料:
『尾張刀工譜』 名古屋市教育委員会、昭和59年3月31日
『犬山里語記』 文化十四年