S72307(W3192)

寸延短刀 銘 基重 彫同作 平成久年二月日 附)茶葡萄色漆塗鞘合口拵

現代刀 (平成九年/1997) 静岡県
刃長31.4cm 無反り 元幅33.6mm 元重7.1mm

附)茶葡萄色漆塗鞘合口拵

 

剣形:平造り、庵棟、無反り。身幅広く、重ね厚くふくらついて手持ち重厚な寸延短刀(299㌘/はばき除)。(刀身拡大写真
彫物:表には梵字(地蔵)および地蔵菩薩の彫物。裏には『大慈大悲』の仏語の彫物がある。
鍛肌:地鉄は総体柾目がかる小板目肌が詰んだ精良な地鉄鍛えに地沸が微塵について小板目状の地景がかかる。
刃紋:錵出来の湾れに小互の目、尖り刃を交えて処々に跳び焼きがある。刃縁に沸厚くつき、刃中は柔らかな匂いを敷いて、互の目の沸足が刃先に放射して金線、砂流し頻りとかかり華やかな沸の働きが豊富で明るく冴えている。
帽子:中丸ごころに烈しく掃き掛けてやや深く返る。
茎:生ぶ、鑢目は勝手下りに化粧。目釘孔壱個。茎尻は刃上がり栗尻。茎の棟方は小肉ついて勝手下りに化粧の鑢目がある。佩表の目釘孔下方には『基重 彫同作』、裏には『平成久年二月日』の制作年紀がある。

 刀鍛治、小栗基重氏は昭和二十八年静岡県周智郡の生まれ、名を辰巳という。昭和五十一年(1976)に、人間国宝の二代:月山貞一刀匠の兄弟子にあたる『喜多貞弘』に就いて鍛刀を修め、同五十八年(1983)には岡山県重要無形文化財、無鑑査『柳村仙寿』に師事して刀身彫刻を習得。同年、文化庁より作刀承認されて独立した。
 平成元年(1989)に新作名刀展に初出陳以降、刀剣の部で入選十五回の栄誉更には刀身彫刻の部で九回の入選などの数多くの受賞歴を誇る現代日本刀の匠である。
 表題の作品は、小栗基重氏四十六歳円熟期の、彫物・二所物・小刀までも同人作の畢生秀逸品。
 『地蔵菩薩』は『お地蔵さま』と親しまれ、頭を丸めた修行僧の姿をして、釈迦と同様に簡素な衣を着けて宝珠を手にして命あるものすべてを救済する菩薩。
 『大慈大悲』とは、仏・菩薩が衆生に分け隔てなく楽を与えようとする心(大慈)と、苦を除こうとする心(大悲)を顕す仏語として知られている。

附)茶葡萄色漆塗鞘合口拵 (拡大写真・拡大写真)
  • 小柄・笄二所物:月光松樹図、鉄魚子地 同磨地 金銀象嵌
  • 基重作(花押)・小柄 彫同作 (花押) 小刀 遠江国 基重
  • 目貫:あけび図 赤銅容彫 色絵
  • 柄:白出鮫着(真鍮裏目釘)
金着せ二重はばき、白鞘付属