T276121(T3198)

おそらく造り短刀 銘 信重作 附)金梨子地群千鳥図螺鈿蒔絵合口短刀拵

新々刀 江戸時代末期(元治頃/1864~)下総
刃長 21.7cm 鋒長 15.3cm 反り 0.75cm 元幅31.1mm 先幅 31.3mm 重ね 6.7mm
保存刀剣鑑定書

附)金梨子地群千鳥図螺鈿蒔絵合口短刀拵
保存刀装具鑑定書
売却済

 

剣形:おそらく造り短刀、庵棟。刃長七寸壱分強(21.6cm)、横手上切先は五寸(15.3cm)の大峰に結ぶ。反り深くつき、身幅広く、横手幅はさらに広い特異な造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:小板目肌密に詰む。
刃文:区を短く焼きだし、腰開きの互の目。
帽子:互の目を連ねて鋒先は直ぐ調に大丸に返る。
茎:生ぶ、目釘孔一個。栗尻張る。切鑢目に棟小肉つき、ここには大筋違の鑢目がある。目釘孔下平地には『信重作』の三字銘が刻されている。

 『おそらく造り』は横手筋が刀身の中程に位置し刀身の半分以上が切先の異風な姿。武田信玄が所持した島田助宗作、七寸七分の短刀の刀身に『おそらく』の文字が陰刻されていることから命名された。
 表題の作者『信重』は名を金井斧三郎といい、幕末期の下総国(現在の千葉県北部と茨城県南西部)古河城内で鍛刀に励んだ。湯島天神での作刀もあるという。『日本刀銘鑑』によると、元治から明治三年(1864~70)の年紀作がある。『江府住源信重』、『於総州古河城内江府住源信重』、『金井源信重造之』などと銘をきる。
 附帯のたいそう艶やかな金梨子地千鳥図螺鈿蒔絵鞘合口短刀拵拡大写真/・拡大写真)は短刀製作当時のものと鑑せられる。金梨子地の鞘柄には総数五十一羽もの群千鳥が螺鈿と蒔絵の手法で精緻端麗に描かれ、呑込合口縁には波文図が蒔絵されている。内外完存の優品である。
真鍮地はばき、白鞘付属
下総古河城下は日光街道の宿場町である古河宿があり、渡良瀬川による河川水運も発達して交通・物流の要所となった。
参考文献:石井昌国・本間薫山『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年