T200559(S835)

刀 銘 武蔵守藤原友常

新刀 江戸時代前期(寛文頃/1661~)尾張・武州
刃長62.6cm 反り1.8cm 元幅30.4mm 先幅19.8mm 元厚6.0mm

保存刀剣鑑定書

剣形:鎬造り、庵棟。元身幅広くやや深めの反りがついて中鋒に結ぶ。素早い抜刀を念頭においた剣形。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌が流れて肌立ち鎬地は柾目肌顕著。
刃紋:沸本位の湾れで焼きだして、複式の互の目と丁子刃を湾れで繋ぎ箱がかった刃を交える。焼刃高く、佩裏は処々鎬筋まで及んで頗る賑やか。刃縁に沸厚くついて、乱れの谷には砂流し・金筋かかり明るく冴える。
中心:生ぶ。鑢目は大筋違に化粧。棟肉平でここにも大筋違の鑢目がある。刃上がり茎尻。目釘孔一個。
帽子:焼刃の高い刃文は横手下で鎮まり直ぐ調となり大丸に返る。
 友常は三代政常の門人。徳川家康の九男『徳川義直』が慶長十二年に甲府から尾張清洲へと転封になると美濃関から清洲城下に移住、同十五年の名古屋城開府にともない義直に随い名古屋に移り藩工として活躍、のちに江戸でも駐鎚した。『以阿蘭陀鍛之』の添銘がある作刀や寛文九年紀銘をみる。師の政常同様に、直刃を最も多く慧眼するが、この作刀のように大湾れ刃や、兼定に範を採った匂深の大乱れに砂流しのかかる作品がある。
銀地一重はばき、白鞘入
生出し品、古研ぎのため、処々に轢跡、染み・僅少な錆があります。
参考資料
本間薫山、石井昌国『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年
岩田與『尾張刀工譜』名古屋市教育委員会、昭和五十九年