A78143(W6930)

脇指 銘 越後守包貞 附)蔦唐草散図黒石目地塗鞘半太刀拵

新刀 江戸時代前期 (延宝頃/1673~) 摂津
刃長 58.7cm 反り 1.6cm 元幅 33.5mm 先幅 22.5mm 元厚 7.5mm
特別保存刀剣鑑定書
附)蔦唐草散図黒石目地塗鞘半太刀拵

 

剣形:鎬造り、庵棟高く、元身幅広く、腰に踏張りがあり、中間反りが美しく付き、中峰延びる。表裏に丸留の棒樋の彫り物がある。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌よく練れて杢目交じり、精美な肌合いをしており腰元に渦巻く肌目がある。地沸厚くついて地景かかる。
彫物:表裏には丸留めの棒樋の彫物がある。
刃紋:元を長く焼きだし、沸厚くついた湾れ乱れに複式の互の目、大互の目、濤瀾がかった互の目を交えて。互の目足頻繁に刃先に放射して入り、刃中は匂い満ちて明るく冴える。
中心:茎生ぶ。鑢目は大筋違いに香包風の化粧鑢。茎尻は刃上がりの入山形。目釘孔壱個。掃表の鎬地よりに大振りの五字銘『越後守包貞』がある。
帽子:直ぐに中丸。
 越後守包貞、後の坂倉言之進照包は大和手掻系の大阪鍛冶で、初代包貞に師事し、長じてその娘婿となり、養父である初代包貞没後の寛文五年から延宝七年までは、初代の子・岩松が幼少だったため、二代「越後守包貞」を冠した。岩松が成人した後はこれに越後守を譲り、自身は隠居して『坂倉言之進照包』と改め以降貞享元年まで終生を『照包』銘で通した。(晩年の天和四年に越後守を受領し、『坂倉越後守照包』と刻した作刀がある)。
 この刀は反りがやや高めに付いた絢爛な姿。よくつんだ板目肌に地沸を厚く敷いた美しい鉄色を呈して、刃縁には明るくつぶらな沸が積もる。刃中には清浄な春霞みの如く匂が充満し刃色が頗る明るく互の目の足が刃先に放射する。大阪新刀の上々作の美点が余すところなく魅せる。刃・棟の両区深く手持ち重厚に健全なる体躯を賞揚する入念作。
時代銅はばき、白鞘入

 赤銅魚子地に蔦唐草を高彫色絵で散らす美麗な総金具で装われた半太刀拵が附されている。
附)蔦唐草散図石目地塗り鞘半太刀拵拵全体写真 /刀装具拡大写真
  • 総金具(縁頭・鯉口・口金具・栗形・柏葉・鐺): 蔦唐草図、赤銅魚子地、高彫、金色絵、無銘
  • 鐔: 桐に龍図、木瓜形、赤銅魚子地、地透、色絵、無銘
  • 目貫:毛抜定規に桐紋図、赤銅、容彫、色絵
  • 柄:白鮫着、黒色常組糸片手菱巻
時代古研ぎのため、処々にヒケ跡があり、棟区上に錆があります。
銅一重はばき、白鞘付属