中国宋の王朝時代に遡る「歳寒三友」は「松竹梅」の由来となった語源。松と竹は寒中にも色褪せず、梅は寒中に花開くという事から、文人の理想である【清廉潔白】を表現した。
我が国では江戸時代以降、松は『不老長寿』・竹は『誠実な心や強い志』・梅は『出世や開運』をそれぞれ象徴するようになり「松竹梅」は慶事祝いの象徴となり現在にいたる。
この鉄鐔の錆色は少し赤みがかり鎚目をあてて創意工夫をしている。下方が僅かに張った障泥風の撫角形には金覆輪耳。中央の茎孔と金埋の左右櫃孔を介した入念な配置で全体の構図を纏めている。真冬に雅な風情を漂わせる松竹梅を主題とした「歳寒三友」を配して裏には晩秋の薄。このような粋な構図は江戸時代後期に隆盛した東龍斎派が得意としたものである。
江戸時代後期