Tuba2357a

糸巻透百足文図鐔 信玄

無銘 信玄

丸形 鉄鎚目地 鋤下彫 地透 据文象嵌 丸耳

縦 75.6cm 横 75.9mm 重ね 3.9mm(耳) 4.4mm(切羽台) 7.0mm(全高)

保存刀装具鑑定書

 信玄鐔とは鉄下地に真鍮や山銅の細い針金を巻いたり、籠のように編み上げたりしたものや、やや太めの針金を百足が這ったように象嵌したものがある。『信玄』の由来は信玄袋や籠信玄の構造が似ていることからの呼称という。
 武田信玄の好みによって作られたとも云われているが真偽のほどは定かではない。信玄鍔の古作は甲冑師系の大振りな木瓜形の鉄地に菊の透かしのある豪放なものがあるが作品は稀有であり、中世室町期のものとみられる信玄鍔の作品が武田信玄の菩提寺である山梨県甲州市の『恵林寺』の (財)信玄公宝物館に数点ほど保存されている。
 この鐔はよく鍛練された鉄三枚仕立の下地を鋤下彫し、真鍮と赤銅針金で精緻に編み込んだ百足文を据文象嵌している。耳には鉄骨粒があり鎚目仕立の鉄色優れた古雅な信玄鐔である。

江戸時代後期