S27862(S1504)

刀 銘 兼房

末古刀 (室町時代末期 永禄/1558年頃) 美濃
刃長71.5cm 反り1.8cm 元幅33.5mm 先幅23.9mm 元厚6.7mm

参考品

剣形:鎬造り、庵棟やや高く、元身幅広く、寸延びてやや先反りついて、元先の身幅さほど開かず先幅張って中峰伸びる。
彫物:表裏に掻通しの二筋樋の彫り物がある。
鍛肌:小板目肌よく詰んでやや流れ柾を交え地沸つき、極めて精微な肌合いとなり、地映りがある。
刃紋:匂い口締りごころの大互の目乱れ所詮兼房乱れの典型。刃中小沸ついて匂足入り、谷に凝り太く入り刃明るく冴える。
中心:茎生ぶ、茎尻刃上栗尻。棟に小肉豊かに付く。茎孔壱個、鑢目鷹の羽。佩表やや上方よりにやや大ぶりの二字銘がある。
帽子:乱れこんで互の目を二つ焼き地蔵風に中丸に返る。
古刀期に兼房を名乗る刀鍛冶は代々関町に住し、非常に栄えて関鍛冶の中核をなした。大永頃の二代兼房の子で初銘同「兼房」を継承した一門は駿河三河の今川氏真に招かれ氏の字を賜り「氏房」と改銘し、後若狭守を受領、岐阜、小牧に移り新刀期の尾張三作の中核をなし繁栄をした。
本一口は身幅広く先反りが美しく付いて先が張る堂々たる打刀で平肉豊かにつき、生ぶの二筋樋は茎まで掻通す。地金は小板目に地映りごころがあり極めて精微で大互の目乱れの頭丸く張った所詮「兼房乱れ」と称する典型的な刃文。兼房作刀中の傑出した出来。この刀は「刀剣押型大鑑」に所載されている。
金着はばき。白鞘入り