Tuba2743a

葵唐草透図鐔

銘  越前住 記内作

変り形、鉄地、肉彫、地透、角耳、両櫃孔

縦 71.0mm 横 70.5mm 5.9mm(切羽台)

保存刀装具鑑定書

上質落込箱

初代記内は名を石川、後に高橋権兵衛を名乗った切物師で、初代康継の作刀に見事な彫刻を施して『越前彫』・『記内彫』と称する技巧を創始した名工。以降江戸時代をつうじて七代程続いたという。

 記内鐔はやや褐色の赤みある丸形鉄地に葵、銀杏や雲龍図などを肉彫地透かしするものを得意としている。また諸国の鐔工とは異なり鐔の裏面、切羽台右側に『越前住』、左側に『記内作』と切り分けている。

 表題の鐔は小模様な七葉の葵を陰陽に配して唐草で力強く繋いでいる。葵唐草の肉彫りは量感溢れて細鏨で丁寧に肉彫りされ、切り立つ地透し・両櫃孔や絶壁の角耳の仕立ては力強い。