T153686(T3193) 短刀 銘 備州長船祐定 天文廿二二年八月
附)潤漆塗鞘桐紋筒金呑込合口短刀拵
保存刀剣
古刀 室町時代後期 (天文二十四年/1555) 備前
刃長 22.4cm 筍反り 元幅 20.7mm 元厚 5.9mm
剣形:平造り、やや小振りの短刀。庵棟低く、元重ねやや厚めにふくら枯れごころとなり筍反りの剣形は刺突に適した所謂、『鎧通し』の造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:板目に杢目・流れ柾を交えて総体に肌目目立つ。煌めく地沸が微塵について、太い地景が板目の鍛に沿って表出して肌目が躍動している。
刃紋:沸出来の湾れ刃は焼高く、互の目を交えて箱がかり、尖りごころの刃などを交えて跳び焼きかかり一分は地に溢れて湯走り状となる。棟焼きの互の目は棟区まで深く焼き下げた強靭な焼刃をして所謂、『皆焼刃』を形成して頗る賑やかに地刃ともに明るく冴えている。。刃縁には砂流し、金線かかり、ほつれる刃を交えて刃中は葉が浮かぶ。
帽子:刃沸豊かに絡んで乱れ込み火炎風に尖り、強く掃きかける。
茎:生ぶ。目釘孔弐個。浅い勝手下がりの鑢目。棟肉は平でここには大筋交の鑢目。刃上がりの栗尻。茎は手の内の握り易さを考慮されやや長めに造り込まれている。佩表の棟寄りには古雅な長銘『備州長船祐定』があり、裏にはやや小振りの鏨で『天文廿二二年八月』の年紀がある。

 長船祐定は勝光・清光らと並び『末備前』と呼称される室町時代後期の備前鍛冶を代表する鍛冶。祐定一門の繁栄の所以は彦兵衛尉、与三左衛門尉、源兵衛尉らの棟梁のもとで戦国武将らの需要に応じた優刀を鍛刀していたことにほかならない。
 表題の短刀は寸法をやや控えめに筍反りで先を枯らせ、元重ねに比して先の重ねを削いだ鋭利な姿恰好をして咄嗟の具えとして常用されたのであろう。組み打ちに際して対峙する武将の鎧の間隙から刺突する実利の用途から強靭なる『皆焼』の焼刃は具足揃の鎧通しであることを明示している。

 付帯の潤漆塗鞘桐紋筒金呑込合口短刀拵は江戸時代末期に流布した様式をしている。鞘は深みある潤漆塗、総金具は赤銅磨地で構成されて処々に五三桐紋が配されている。注文主の優れた感性と職方の優れた造形美が窺え、感心させられる優品である。(合口拵全体写真-/各部拡大写真
金着一重はばき、白鞘付属
 
短刀 銘 備州長船祐定 天文廿二二年八月
短刀 銘 備州長船祐定 天文廿二二年八月
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