G77622(W5056) 脇差 銘 豊後住藤原行光 附)朱石目地塗陰陽向こう梅に桐紋高蒔絵散鞘宇治川合戦図脇差拵 |
特別保存刀剣 | 1,750,000円 | |
新刀 江戸時代前期 (承応頃/約350年前) 豊後・肥後 刃長54.3cm 反り1.4cm 元幅31.5mm 元厚7.7mm 先幅24.3mm |
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剣形:鎬造り、庵棟、反りはやや浅めにつき、元身幅広く重ね頗る厚く、先の身幅も広く張って中切先がさらに延び心となった勇壮かつ強固な造り込みで江戸時代前期の典型的な姿をしている。(刀身拡大写真) 鍛肌:地鉄は総じて小杢板目がよく詰んだ清涼かつ強い鍛えに地沸きが付き、細やかな沸筋がちりちりと沸きだして所詮「地景」となり深淵より沸きだして真に美麗。 刃紋:総体に沸出来で短く焼きだして複式の互の目や角がかった焼き頭が地に長く入り所詮(鍬形刃)と云われる特異な刃文を形成し、中頃はさらに焼刃高く、一部は鎬筋に届かんばかりで、物打ち付近は跳び焼きや玉を交え真に躍動感溢れ、闊達な動きがある。刃中に目をやると、匂い深く、春霞のごとく煙り、乱れの谷は沸がこごり、太い沸足となり、足を遮る砂流しが流れる。勇壮かつ質実たる姿に華やかなかつ動きのある闊達な刃文を焼いて江戸時代前期の美意識を示す。 帽子:表裏とも横手上で互の目を焼いて直調子となり中丸に返る。 中心:茎生ぶ、鑢目勝手下がり、茎尻は刃上がり入山形。目釘茎孔一個。佩表の鎬地に大振りの銘で「豊後住藤原行光」とある。 名を仲間勘左衛門尉。豊後での作刀のほか、肥後熊本での作刀がある。小杢目が強く詰んだ鍛えに複式の互の目を焼くなどの手法は同国の輝行にも近い作域であり両者の交流も伺える。また通常は直刃を焼くことが多い点も共通である。通常に比して身幅広く、重ねも厚く、清涼かつ良質な地鉄を用いたこと、かつ鍬形刃状態にまで発展させた均一な焼き入れは見事に冴えた地刃を表出させている。特別の注文に応じて制作されたことは想像に難しくない。付帯の豪華絢爛たる向かう梅に桐紋散の高蒔絵脇指拵は総金具を宇治川合戦図とし、鍔には後藤程乗(花押)の銘がある。通常の桐紋とは趣を異なえて、腰元の蒔絵は「五九桐紋」となっていることは希有であり、豊臣秀吉の夫人(北政所)が秀吉公の菩提寺として建立した高台寺の旧持仏堂の開山堂(重要文化財)にこの「五九桐紋」があることは興味深く今後の研究に委ねたい。 銀地腰祐乗はばき、白鞘入り。 |
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