| A4032(S8258) 刀 無銘 備前長船基光 附)黒漆皺革塗鞘肥後打刀拵 |
第五十三回重要刀剣 特別保存刀装具 |
| 南北朝時代(延文頃/約650年前) 備前 刃長71.4cm 反り2.0cm 重ね7.5mm 元幅29.8mm 先幅23.2mm |
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| 剣形:鎬造り、庵棟、元先ともに身幅広く、腰反りがつく。重ねが厚く、平地が広い造りこみで中峰延びる(刀身全体写真)。 鍛肌:杢目肌に板目肌、刃寄りに流れ肌交え、相対に肌立ち、地沸付き、地景かかり、乱れ映りたつ。 刃紋:表は肩落互の目を基調に小互の目、腰開いた互の目交え、逆足が入り、此処に砂流しかかり、下半は焼刃高く逆がかった大房丁子となり僅かに飛び焼きがあり金線が入る。裏は小互の目に小丁子、尖り刃、角ばった肩落ちの互の目交え、総体に逆ごころあり、逆足良くはいり、砂流し入る。 中心:磨上げ無銘。鑢目は勝手下がり、茎尻は栗尻。目釘孔三個。 帽子:表は大きく乱れこんで匂いで尖りごころに返る。 南北朝時代の長船系は鎌倉時代末期の勇壮な姿が極度に誇張され太刀は身幅広く、寸も極度に伸びて三尺を超えるものもあり、背負太刀や野太刀と云われる大振りなものが出現した時代でもある。初代兼光門には二代の兼光や同門の倫光や政光および表題の基光らの名工を排出しており本伝である備前伝を基本としながらもこれに相州伝を取入れ当世の武人の好みや流行に適した沸出来の相州伝を加味して時流の要請に応えた。 表題の刀は大磨上げながら幅広く、重ねは厚く踏ん張りがあり、腰反りの感強く切先が大きく延びる。鍛えは杢目鍛えに板目肌を交えて、乱れ映りが立ち、刃文は伝統の肩落ち互の目を基調として互の目の頭から匂が尖って地に煙りこみ、表下半は脊の高い逆がかった丁子刃を列ねて金筋、砂流しかかるなど個性的で特徴がある。刃中や刃縁がよく働いた同工極めの優品である。 基光は南北朝期の備前長船派の刀工で、兼光の子とも、或は門下とも伝え、左兵衛尉に任じられている。現存する年紀作をみるに、康永〜永和(1342〜1378)におよび、活躍期は明瞭である。作風は師伝の兼光風を蹈襲しており、やや下方から腰元にかけては焼刃の高い逆がかった大房丁子を焼いて、上部は片落ち互の目が主調となる刃文は個性的であり、同工の特色がよく顕れている。 附帯の黒漆皺革塗鞘肥後打刀拵は江戸時代後期の作で皺革地仕立漆塗鞘、赤銅地の波文縁頭、素銅地焼き手腐らし手法の唐草文鐺、龍図目貫、肥後蔦唐草象嵌鍔および熊谷木瓜形鍔(保存刀装具)の二枚が附帯している。 刀身は豪壮で健全な体躯を称え、外装は白鮫着に焦茶漆革塗菱捲ともに元姿の状態を保つ内外ともに完存の優品である。 本刀は各務弦太氏による差し込み拭い研ぎが施された。同氏は平成二十四年、公益財団法人日本美術刀剣保存協会主催の第六十五回刀剣研磨外装技術発表会、研磨の部において本刀を出品されて努力賞を受賞、同協会の刀剣博物館にて展示された。 差し込み拭いの手法により具現化された自然な景色は南北朝期の長船正系に属する同工の地刃に妖艶たる美しさを再現して十二分に堪能できる。 時代金着せ二重牡丹はばき、上質白鞘入り |
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