A25917(S8871) 刀 金粉銘 兼元
附)金梨子地桐紋蒔絵衛府太刀拵
保存刀剣
本阿弥小札
新刀 江戸時代前期(寛永頃/約380年前) 美濃
刃長69.1cm 反り1.6cm 元幅29.6mm 元厚6.4mm 先幅18.2mm
剣形:鎬造り、庵棟、反りやや浅めに付いて中峰に結ぶ。(刀身詳細写真
鍛肌:小板目肌がよく詰んで地沸つき総体に密な鍛肌を呈する。
刃紋:所詮三本杉と称する互の目尖り刃を列ねる。刃縁には小沸が付いて足がよく入り明るく冴える。
帽子:帽子は互の目のまま乱れ込む。
中心:無銘、茎孔は一個。鑢は切。茎尻は切。金粉銘で二字銘「兼元」とある。
金粉銘「兼元」の打刀は純然たる三本杉を列ねており、地金も小板目を密に鍛えており、時代を孫六四代、寛永頃の田代源一兼元の作域と鑑することができる。
兼元は兼定とならび美濃鍛冶を代表する工であり、同名が相継ぎ各代ともに孫六を通称とした。今日では最も技量の優れた二代を指して「孫六兼元」と称する。初代の兼元には三本杉風の刃文は希有であり、所詮三本杉の創始者は二代の兼元であろう。初二代ともに赤坂の地で作刀し二代は晩年より関に移住したと伝えられる。晩年の関打ちの時代にほぼ三本杉を完成させたと考えられる。
さて本作は掃裏の刃区上約110ミリほどの刃中に鍛割跡がある(補修済みで目立たない)。また掃表の横手下約50ミリあたりにヒケ疵(研磨によって除去が可能)がある。金梨子地桐紋蒔絵衛府太刀拵に収まる。御大典即位式に温存されてきたか細工も入念で完存である。
金着せはばき(白鞘用)、衛府太刀はばき(桐紋入り)、白鞘付属。