M4819(S3050)

刀 銘 肥後守秦光代 以銷鉄作之

 新刀 (江戸時代前期 延宝/ 1673年頃) 尾張
刃長71.3cm 反り1.8cm 元幅31.4mm 先幅21.2mm 元厚7.4mm

参考品

剣形:鎬造り、庵棟、元身幅広く、重ね厚く、先反りついて寸延び中峰。
鍛肌:杢目肌に板目肌交じり、地沸つき、僅かに地映りがかって、地青黒く澄んで冴える。
刃紋:広直刃を基調に、僅かに解れて鼠足頻りとかかり、小沸厚く付いて匂い締り、僅かに砂流しかかる。刃中匂充満し、頗る明るく冴える。
中心:茎生ぶ、刃上がり入山形。茎孔一、鑢目大筋違。佩表にやや大振りの長銘、裏に以銷鉄作之。
帽子:直ぐに中丸。
寸法が延び、やや先反りの付いた美しい姿をしており、鎬高く、刃肉豊かについた頗る健体な一口。地金は青く冴え、僅かに映り心があり、強く冴えて印象深い。肥後守秦光代は始祖を山城国とし、美濃出身で後名古屋に移る。尾張の剣術指南役柳生連也斉厳包の仲介で江戸石堂対馬守橘常光と師弟の関係を結び、後に尾張に戻り、越中守貞幸の養子となったが不縁となり、独立し別家した。柳生連也斉の抱鍛冶となり、その好みに応じた幾多の名作を残した尾張新刀の雄たる名工として知られる。特に尾張名物「鬼之包丁」は異名のある脇差「表切刃造り」で光代の苦心を重ねた異彩を放つ名品として名高い。
本作は光代得意の山城伝直刃に逆足働き、上品で尾張新刀の雄たる刀で茎の状態も頗る好く、地刃ともに冴えた逸品。
金着せはばき、白鞘入り