N90957(T5526)

短刀 銘 兼升 附)黒石目地塗鞘短刀拵

古刀 室町時代後期(大永・天文頃/1521~54)美濃
刃長 22.4cm 元幅 26.3mm 元重ね 6.5mm

特別保存刀剣鑑定書

附)黒石目地塗鞘短刀拵


 

剣形:両刃造り短刀。刃長七寸四分(22.4cm)の頃合の刃長に両刃の先フクラ枯れた刺突を念頭においた造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:柾目肌が総じて肌立つ強い鍛えに地沸が微塵につき地景はいる。
刃文:両区をほつれごころの互の目を焼いて浅く湾れ、ほつれる刃や二重羽かかる。他方の焼刃は大き湾れに同じくほつれる刃を交える。
帽子:掃きかけて火炎風に尖る。
茎:生ぶ、目釘孔一個。栗尻張る。刃長に比してやや短い茎の鑢目は切。茎上方目釘穴横には『兼升』の二字銘がsる。

 『兼升』は『兼枡』同人。大永~天文頃(1521-54)、美濃国関の奈良派に属した刀工で、『濃州関住兼升』、『兼升』と銘を切る。 表題の両刃造り短刀は、柾目の肌目明瞭に、ほつれる刃や二重刃ごころの直刃は大和色豊かで出来優れ、同工の一作風を明示する優品。
 室町時代の大永~天文頃の短刀は、刺突を主念頭においた所謂、鎧通しと呼ばれる剣形を多く慧眼する。これらは総じて寸が短く、内反りごころとなるものや、まま両刃造りを慧眼することがある。総じて強靭な鍛肌に、刃文は直刃を焼くものや、複式の互の目を焼いたり、皆焼を呈するなど焼刃の多彩さをと美の表現の追求を試みて新境地を魅せている。

 美濃国は大和・山城・備前・相模とともに鍛冶大国に数えられる名流として知られている。これらの『五ケ伝』のなかで美濃伝は他国とは様相を異としており、戦国乱世を舞台として活躍したことから実利を追求した機能美を昇華させた。美濃の関鍛冶らは鍛冶仲間の自治組織である『鍛冶座』を結成し、刀祖神を奈良の春日大社から関の春日神社に分祀して関刀鍛冶の本拠地として奉り崇めた。また『関七流』と呼ばれる善定派(兼吉)・室屋派(兼在)・良賢派(兼行)・奈良派(兼常)・得永派(兼弘)・三阿弥派(兼則)・得印派(兼安)を形成して統率し、豪族・戦国大名からの受注を一手に承けて繁栄し全盛期を迎えた。

附)黒石目地塗鞘短刀拵拵全体写真拵全体写真刀装具各部写真
  • 縁頭:草花楓図 赤銅地、高彫、色絵、無銘
  • 目貫:扇図
  • 鐔:波図 山銅地、鋤彫、無銘
  • 小柄:笹竹の鷺図、山銅地、高彫、色絵、無銘
  • 鞘:黒石目地塗、山銅地鐺
銅鍍金はばき、白鞘付属
参考文献:
鈴木卓夫、杉浦良幸『室町期美濃刀工の研究』里文出版 平成18年