I16625(T6232)

短刀 銘 備前国住長船清光 永禄十年八月日 附)溜塗鞘唐花文散図合口短刀拵

古刀 室町時代後期(永禄十年/1567)備前
刃長 27.0cm 元幅 26.1mm 元重ね 8.5mm

特別保存刀剣鑑定書
特別貴重刀剣鑑定書
『有銘古刀大鑑』所載品

附)溜塗鞘唐花文散図合口短刀拵

 

剣形:平造り短刀。八寸九分と寸がのび、元先の重ねが厚くつき、ややふくらの枯れた刺突を念頭においた造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌が総じて詰み、刃寄り暗帯部を挟んだ焼き出し映りが鮮明にたつ。
刃文:刃区やや低く短く焼きだし、腰元に小互の目を交えた箱刃を焼いた広直刃は僅かに湾れて二重刃を交え、処々跳焼がある。刃縁には鼠足しきりとかかり、金線、ほつれかかり、刃中葉浮かび、刃中は匂い深く明るく澄む。
帽子:表は沸崩れて先掃き掛けて深く返る。裏は直ぐに先小丸となり僅かに掃きかけて同じく棟に深く返る。
茎:生ぶ、瓢箪形の目釘孔二個(内一個埋)。栗尻張る。浅い勝手下がりの鑢目がある。指表の茎上方の棟寄りには『孫右衛門尉』自らの大振りな鏨運の自身銘『備前国住長船清光』の長銘があり、裏には『永禄十年八月日』の制作年紀が刻されている。
 室町時代末期、備前長船の地では戦国時代の増大する武士たちの需に応じて戦国武将と長船鍛冶等が深い絆で結ばれていた。『五郎左衛門尉』と『孫右衛門尉』を頭領とする清光一門の活躍がめざましい。
 『孫右衛門尉清光』は『五郎左衛門尉』の後継者。現存する年紀作は永禄二年~元亀二年(1559~71)の活躍期で、源兵衛尉祐定と列び長船鍛冶の最期を飾る上作鍛冶として名高い。清光と戦国武将、とりわけ『孫右衛門尉清光』の有力な庇護者の天神山城主『浦上宗景』や重臣、青山城主『日笠頼房』らの需に応じた作刀が現存している。
 この短刀の茎には『孫右衛門尉清光』自らの鏨運びで銘文が神妙に刻されて、永禄十年紀も貴重。重ね頗る厚く手持ち重厚たる剛健な体躯を保持し頗る健全に、板目肌よく詰んだ地鉄には刃寄りに暗帯部をともなった焼き出し映りが鮮明にたつ。得意とした浅い湾れをともなう広直刃は同工の特徴が顕著で、素剣に護摩箸の端正な彫物は浦上氏とその重臣達の守護神に帰依した証で、用と美の神髄を咀嚼した『孫右衛門尉清光』の優れた技量を有する短刀。
 『有銘古刀大鑑』の所載品、『地刃共に健全にて出来よし』と賞揚されている。

附)溜塗鞘唐花文散図合口短刀拵 (表全体写真裏全体写真各部写真
  • 総金具(縁頭,鯉口,栗形,裏瓦,鐺): 唐花散図 赤銅地 鋤彫 磨小縁 無銘
  • 目貫: 天秤棒商人図 赤銅容彫
  • 小柄: 笹竹豹虎図 赤銅魚子地 無銘
  • 柄:白出鮫巻
金着一重はばき、白鞘付属
参考文献:
長船町『長船町史』大塚工藝社、平成十年
飯村嘉章『有銘古刀大鑑』刀剣美術工藝社、昭和五十七年