S63130(S1900)

刀 銘 伊豆国竜義作 平成壬申春吉日

現代刀 (平成四年/1992)静岡県
刃長 74.5cm 反り 2.0cm 元幅 34.9mm 横手幅 25.5mm 元重 7.2mm

剣形:鎬造り、庵棟。二尺四寸六分と寸が延び、身幅広く重ね厚くつく。元先の幅差さまでつかずに先重ねも厚くついて大切先に結ぶ豪壮な体躯。はばきを含む刀身重量は905㌘あり、手持ち重厚。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌練れて杢交え、地沸厚くついて地景はいり、鉄色冴える強靭な鍛肌。
刃紋:沸出来の湾れに小互の目を連ね、尖り刃、箱刃、矢筈ごころの刃を交える大乱れ。刃縁のにはやや粗めの沸が厚く凝り、沸厚くついて湯走り状の二重刃・跳び焼きがある。ここには稲妻や金線かかり、金線・砂流し頻りと流れて刃縁明るく冴える。刃中は匂い深く充満して葉浮かび、互の目の沸足が明るい閃光を放ち刃先に向かって放射している。
帽子:乱れ込んで強く掃きかけて焼き詰めごころ。
中心:生ぶ。茎は刃側をやや舟底風におろしてり栗尻に結ぶ。鑢目は大筋違に化粧鑢、棟方わずかに小肉つきここにも大筋違に化粧の鑢目がある。茎孔壱個。佩表の目釘孔横鎬地に駐鎚地『伊豆国』、下方の鎬筋に大振りの三字銘『竜義作』、裏の鎬地には『平成壬申年春吉日』の吉祥年紀が刻されている。

 竜義刀匠は本名を『榎本栄一郎』、昭和二十六年十月三十一日、静岡県三島市大宮町三丁目15-21、名匠『月山貞勝』に学んだ無鑑査刀工『湧水心貞吉』の長子として生まれた。次弟の『榎本貞人』、本名『榎本栄七朗』とともに近代を代表する刀鍛治である。
 同工『榎本栄一郎』氏は佐藤寒山博士により初銘『貞義』を命名したが、父『貞吉』と同音の為に、結婚を機に『竜義』に改めた。
 父『貞吉』に師事して技を修め、昭和五十年新作刀展覧会に出品以降、躍動する地景や金筋、光彩を放つ強い沸の美に魅せられて相州伝の優品を念頭に鎚を振るい、数々の入選・受賞を果たした優工。
 この刀は鋒が殊の外大きく延びた豪壮な姿は、相州伝の深淵に迫らんとする南北朝時代の直江志津写しの力作。地鉄は板目肌に、脈々と太い地景が入り鉄色明るく冴え、複式の互の目を連ねて沸が厚く刃縁について、刃先に太く放射する沸足を遮るように金線、砂流しが幾重にもかかる。
 栗尻に結ぶ茎は制作時の白銀色に輝き、精細な化粧鑢には駐鎚地『伊豆国』に『竜義作』の刀匠銘、裏面には『平成四年壬申春吉日』の同氏、四十歳円熟期の吉祥年紀が刻されている。
銀地一重はばき、白鞘入