F89892(S8113)

太刀 銘 筑前住瀬戸吉廣作 昭和六十二年初夏

現代刀 (昭和六十二年/1987) 福岡県
刃長78.6cm 反り2.7cm 元幅34.2mm 先幅24.3mm 元重8.0mm
無鑑査刀工(平成八年)

剣形:鎬造り、庵棟、寸延びて身幅広く、重ね厚く、踏ん張りがあり腰反りが深くついて猪首切先に結ぶ。(刀身全体写真
彫物:樋先の上がった棒樋を茎に掻き流す。
鍛肌:小板目肌が精緻に詰んで小粒の地錵が微塵について地肌潤う。
刃文:互の目丁子乱れ。大房丁子、小丁子が複式に入り乱れて重花丁子となり、一部は鎬筋にまでとどく。刃縁は小沸よくついて刃縁しまりごころに明るく冴え、刃中は匂充満して澄んで此所に砂流しかかり、角度のついた丁子足は刃先に向かい放射する。
中心:生ぶ。目釘孔壱個。鑢目は大筋違、茎尻は栗尻に結ぶ。太刀銘で『筑前国瀬戸吉廣作』、裏には『昭和六十二年初夏』の制作年紀がある。
帽子:乱れ込んで中丸に返る。
 無鑑査刀匠『瀬戸吉廣』は昭和二十年五月二日(1945)、福岡県生まれ。大学卒業後に東京の医薬品販売会社に勤務したのちに人間国宝、『宮入昭平』に入門を許され、昭和四十六年(1971)二十五歳で、のちの人間国宝『隅谷正峯』に師事し備前伝鍛刀技術の修練に励んだ。昭和五十二年(1977)に作刀承認、同年に独立して鍛錬所を開設。
 同氏は独立後も再び『隅谷正峯』の教えを受けて更なる研鑽を積み、昭和五十三年(1978)から新作名刀展に連続出品、寒山賞・会長賞・文化庁長官賞などの特賞を連続受賞を成し遂げた。十年以上におよぶ師との交流は師伝の備前伝をさらに高尚に昇華させ、平成八年(1996)には公益財団法人日本美術刀剣保存協会より『無鑑査』認定された現代の名匠である。
 この太刀は、昭和六十二年(1987)、四十二歳の作刀。堂々たる太刀姿に精良緻密な地鉄、高低自在の華麗な重花丁子乱れは柔らかな匂いに包まれて明るく冴えわたる。殊更、『山鳥毛』を念頭においた福岡一文字の最盛期の作風を具現化した現代の優品である。
金着せ二重はばき、白鞘入