G6310(T3722)

両刃造り短刀 銘 備前国住長船祐定作 大永五年八月吉日 附)茶漆手綱刻鞘合口短刀拵

古刀 室町時代後期(大永五年/1525)備前
刃長 20.3cm 元幅 23.3mm 元重ね 7.0mm

特別保存刀剣鑑定書

附)茶漆手綱刻鞘合口短刀拵

保存刀装具鑑定書

 

剣形:両刃造り短刀。刃長六寸七分(20.3cm)と頃合の刃長に両刃の先フクラ枯れた刺突を念頭においた造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌が総じて肌立つ強い鍛えに地沸が微塵につき地景はいる。
刃文:両区を短く焼きだし、腰開きの互の目に箱刃、複式の互の目、尖り刃を交えて総じて焼刃高く、刃縁の焼頭には粗めの沸が積もり、処々跳び焼きかかり、砂流しや沸筋頻りとかかるなど皆焼風となる。
帽子:乱れ込んで烈しく掃きかける。
茎:生ぶ、目釘孔一個。栗尻張る。刃長に比して長い茎には浅い勝手下がりの鑢目がある。茎上方鎬筋右手には『備前国住長船祐定作』の長銘、裏の鎬筋左手には『大永五年八月吉日』の年紀が刻されている。
 表題の両刃造り短刀は与三左衛門尉祐定の作風と銘文の特徴を有する優刀。
 室町時代永正頃の短刀は、総じて寸が短く、内反りごころとなるものや、両刃造りを慧眼することがあり、刃長に比して茎が長いものが多い。刺突を主念頭においた所謂、鎧通しと呼ばれる剣形を多く慧眼する。鍛え肌が強く、刃文は直刃を焼くものや、複式の互の目を焼いたり、皆焼を呈するなど焼刃の多彩さをと美の表現の追求を試みて新境地を魅せている。
 末備前の刀工中に祐定を名乗る者は六十余名に及び、様々な俗名を持つ祐定の作品を見ることが出来るが中でも優品の数が多くその筆頭に挙げられるのが、末古刀最上作の与三左衛門尉祐定であろう。同工祐定には通常二代説が採られている。俗名を中川与三左衛門尉といい。初代は「天文四年・六十九歳」、「天文六年・生年七十一」の銘がある作刀より、文明9年(1477)生まれであることが判る。初代には俗名を附さないものがあり、永正から天文年間の年紀作がある。
 本作は板目肌の強い鍛肌に地沸が微塵に付き地景が入り、刃文は腰の開いた互の目に小互の目、尖り刃等が交り、足、葉よく入り、刃縁にやや粗めの沸がつき砂流し・金筋がかり、さらには処々跳び焼きかかり皆焼風となるなど、地鉄の鍛・焼刃の沸ともに強く、匂口が明るく冴えた同作中の優品である。五百年に及ぶ茎の錆味まことに優れ、銘文鏨運びの書体は謹厳実直として、中川与三左衛門尉の鏨運びによるものと鑑せられる。
 本両刃造り短刀は永正備前祐定の優れた技量を窺い知ることが出来、附帯の格調高い茶漆手綱刻鞘合口短刀拵拡大写真/・拡大写真)は江戸時代後期にの製作のもので内外共に希有な完存の優品である。

金着せ腰祐乗やすりはばき、白鞘付属

参考文献:石井昌国・本間薫山『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年

長船町史編纂委員会『長船町史』大塚工藝社、平成十年