Tuba2906a

龍虎梅竹図鐔

無銘 水戸

葵木瓜形、鉄槌目地、高彫、象嵌色絵、赤銅編目覆輪、片櫃孔(赤銅埋)

縦 88.2mm 横 87.2mm 重ね 4.1mm (切羽台) 4.3mm (耳)

保存刀装具鑑定書

 水戸金工は、寛文・延宝年間(1661~1681)に軍地与五郎が江戸で修業して帰郷し、その後与五郎の門から谷田部通寿が出て、数多くの門人を養成し水戸金工の技術の向上と普及に努めたため、与五郎は水戸彫りの祖と称されているという。水戸彫りが特に有名になったのは、江戸時代後期から幕末にかけての時期であり、ことに水戸藩九代藩主・斉昭が奨励したことによって隆盛を極め、数多くの名工が輩出した。また水戸が大需要地の江戸に比較的近いことも幸いしたようだ。藩内で使用する鍔などは主に鉄製のものだったが、他に売り出すものは金、銀、赤銅、真鍮などを使用した豪華なものであった。

 この鐔は大振りでやや薄造り葵木瓜形の漆黒色鉄槌目地を高彫して赤銅の編目覆輪を充て、金・赤銅・山銅の象嵌色絵の手法で実力切迫する龍虎と風雪や厳寒に耐えて緑を保つ梅竹を高彫象嵌して尚武の気風を豪華に表現している。

江戸時代後期