M31543(T6229)

短刀 銘 三品廣房作 安政二年八月日

新々刀 江戸時代末期(安政八年/1855) 伊勢
刃長27.2cm 無反り 元幅26.3mm 元重11.9mm

特別保存刀剣鑑定書

 

剣形:平造り、庵棟、ほぼ無反り。元重ね頗る厚く、先の重ねも尚厚くふくらが豊かに張った重厚な造り込み。(刀身拡大写真
鍛肌:地鉄は小板目肌が密に詰んで強く、地錵が付いて精細な地景が顕れる美しい鉄色をしている。
刃紋:小沸主調の丁子刃に尖り刃を交え華やかに冴える。刃縁には均一な沸が積もり、刃中匂い満ちて丁子の沸足は刃先に放射する。
帽子:直ぐに中丸となり返り深く留まる。
茎:生ぶ。鑢目大筋違に化粧。茎棟は小肉豊かについてここにも大筋違の鑢がある。目釘孔壱個。刃上がりの栗尻。目釘穴下方に『三品廣房作』の長銘。裏には『安政二年八月日』の制作年季がある。

 三品廣房は伝承では『正宗十哲』志津三郎兼氏の系譜で伊勢桑名の産、三品藤右衛門広道の長子。通称を半兵衛といい、『義朋斉(ぎほうさい)』と号した。弟の三品藤九郎廣道とともに固山宗平、宗次に師事して備前伝の鍛法を取得。鍛冶町(三重県桑名市鍜冶町54)に鞴を構えた。伊賀にても作刀するという。嘉永五年から明治二年の年紀作がある。明治十八年八月十九日歿。
古研ぎ、山銅地時代はばき、白鞘入り
参考資料:
矢ケ瀬清一 『三重県の刀工』 三重県郷土資料刊行会 1976

本間薫山・石井昌國 『日本刀銘鑑』 雄山閣 1975
廣房打刃物店