menuki2750a

宝尽図目貫

宝尽図

加賀金工

無銘、金無垢、容彫

43.5mm x 14.0mm 6.7mm 厚 6㌘

42.8mm x 14.0mm 6.6mm 厚 6㌘

特別保存刀装具鑑定書

殊のほか大ぶりな金無垢の宝尽図目貫
打ち出の小槌を打つと宝物は蓑に招き寄せられ、笠により風雨災難より守護する縁起の良い図案。永遠の耀きと繁栄・守護への祷りを顕している。温かみのある金無垢地は裏からのへし出し深く、薄手に肉取りした量感ある高彫で、際端を絞り込んでさらに立体感を際立たせており根も高く温存されている。量感ある蓑合羽と笠には綺麗に揃ったふさふさとした毛彫りを施して宝尽で膨らんだ縄網目部分のへし出しはさらに深く叩き出されてもっこりと量感をもたせている。
加賀前田家は後藤家をはじめとする金工達を招聘して刀装具文化の育成に注力した。後藤家七代の理兵衛家『謙乗』をはじめ、九代『程乗』を二百石もの高禄で優遇して迎えて加賀と江戸を隔年勤務させて技倆の発達に努めた。加賀後藤家の金工達は後藤宗家の伝統的な図柄や作風にさらなる斬新な趣向を凝らして風雅な彫法を加えて独自の作域を創始した。金無垢目貫の画題は様々あるが後藤宗家では龍・獅子などの武家の伝統的図案が大勢をを占めているのに対して、加賀後藤家の作品は加賀百万石の風土に相応しく繊細な図案で高尚風雅な作風である。