A77597(W2890)

脇指 銘 千手院和泉守源守正作

新刀 江戸時代初期(寛永頃/1624~) 武州
刃長 46.3cm 反り 0.7cm 元幅 29.0m 先幅 19.5mm 元厚 6.2mm
特別保存刀剣鑑定書

剣形:鎬造り、やや高い庵棟。鎬筋高く、元身幅広くやや浅めの反りがつき、元先の幅差が頃合について中峰に結ぶ。(刀身拡大写真) 鍛肌:板目肌よく練られて総体に柾がかり肌目たつ。地沸厚くつき地景が入る。 刃文:刃文はやや浅くのたれて焼き出し、沸深い小互の目、沸足太く入り、金筋・砂流し頻りに掛かり、処々互の目の沸頭が地に溢れ簾刃風の沸筋が地に顕れて長い砂流し・沸が絡んで所謂、皆焼風となり地刃ともに頗る明るく冴える。 帽子:焼刃高く一枚風に烈しく沸づいて掃きかけて稲妻入る。 茎:生ぶ、目釘孔壱個。栗尻張る。浅い勝手下がりの鑢目、棟小肉付いてここには大筋違の鑢目がある。佩表の目釘孔下方の鎬筋には特徴ある蓮書体風の鏨使いで『千手院和泉守源守正作 』とある。  千手院守正は赤坂千手院の末葉で姓を岡本、源氏を冠し『盛国』同人という。江戸新刀の上作鍛冶。『和泉守千手院源守正作』、『和泉守千手院盛国』などと銘をきる。『日本刀銘鑑』によると、『於甲州郡内八幡山千手院和泉守源守正作』の遺例があることから同工は本国美濃から甲斐を経て武州に出府して『和泉守兼重』に学んだとおもわれる。  『新刀銘尽』では銘字・作柄ともに近似することから、上総守兼重を守正(盛国)の子または門人としている。虎徹の作域に迫る作品があり、さらには虎徹の師を和泉守兼重とする説を鑑みるに、兼重、虎徹、守正(盛国)らは同派に属して技術交流したと推量されている。  勇壮な体躯の地鉄は柾目肌に練られて地沸厚く付いて明るく冴える。湾れ主調に互の目の太い沸足が入り、柾目鍛肌は刃中の長い金線、砂流しとなり千手院派の特徴が顕著。中程から物打ち上部は沸強く溢れて刃境には溢れんばかりの沸が厚く降り積り頗る明る照らして皆焼風。江戸千手院派の優質が示された秀作である。 時代銅はばき、白鞘入り(鞘書きあり・鞘表鞘裏参考資料:
本間薫山、石井昌國『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年