Tuba2717a

四方環頭猪目透鐔

無銘 赤坂三代 正虎 (古赤坂)

木瓜形、鉄地、地透、丸耳、両櫃孔

縦 85.5mm x 横 84.0mm x 7.3mm(切羽台)

特別保存刀装具鑑定書

 

赤坂鐔は徳川家康が江戸幕府後の寛永初年頃に京の雁金屋彦兵衛が初・二代の忠正を引き連れて江戸城外の赤坂一ッ木町の黒鋤谷にて鐔の製作を創めたのが起源とされている。古赤坂と呼称される初・二代・三代までは総じて無銘で在銘作は四代の『忠時』からである。赤坂派の鐔工達は出府する全国の武士たちの好尚に応えて愛好され江戸時代を通じて250年間の長きに亘っておおいに繁栄した。

表題の作者三代正虎は赤坂家三代目で名を『庄左衛門』、延宝年間に先代より跡目を相続したという。赤坂家の系図によると宝永四年(1707)歿。

この鐔はことのほか大振りで重ねが厚く肉太で平肉ついた鎚目鍛仕上の強靭な地鉄をしている。大丸耳の豊満な肉づきに鉄骨が顕れており、江戸旗本の三河武士の質実剛健な気風に沿った豪放な手強い作柄ながらも洗練された江戸前の気風が顕されており粋な味わいがある。