N2825(W7002)

脇指 銘 則光 附)黒蝋色塗鞘脇指拵

古刀 室町時代前期(寛正頃・1460~)備前
刃長 58.4cm 反り 1.6cm 元幅 29.4mm 先幅 19.5mm 元重 8.1mm

特別保存刀剣鑑定書
特別貴重刀剣認定書

附)黒蝋色塗鞘脇指拵

10回まで無金利分割払い(60回まで)

剣形:鎬造り、庵棟、重ね頗る厚くつき、腰元でやや深い反りがつく。身幅広く、元先の幅差が幾分ついて中峰に結ぶ。(刀身全体写真
彫物:樋先の上がる片チリ棒樋の彫物は区上で角留めとなる。
鍛肌:小杢目肌総じてよく詰んで潤い地沸つき、地景入り、暗帯部を挟んで淡い地斑調の映りが立つ。
刃文:匂い出来広直刃に小乱れ・小互の目や処々に逆足を交えて小湾れを交えて刃境にほつれる刃がある。刃縁の匂口締まり純白の小沸よくついて明るく耀き、刃中匂い深く満ちて葉が盛んに浮かぶ。
中心:生ぶ。目釘穴弐個。刃長に比して茎長短く栗尻に結ぶ。鑢目は勝手下がり、棟肉付いてここにも勝手下がりの鑢目がある。漆黒の錆味優れ、鑢目明瞭、佩表の鎬地目釘孔上には入念に刻された鏨枕鮮明かつ特徴ある『則光』の二字銘がある。
帽子:直調に僅かに湾れて大丸となる。

 江戸時代前期に成立した『如手引抄(にょてびきしょう)』によると、長船鍛冶直系の『則光』(五郎左衛門尉)は盛光の子。『文明九年七十二歳』と添銘した作刀があることから応永十二年(1405)生まれであることが判り、永享から文明頃(1429~80s)にかけて活躍した。応永備前鍛冶の終美を飾る二代康光とほぼ同年代であり、『永享備前』と称される室町時代前期の長船鍛冶に分類される優作鍛冶である。
 この脇指は地刃・姿ともに古調であり所謂先代の『応永備前』の作域に近似している。同工『則光』は長船正系の伝統を保持した名工として高く評価されており、長禄三年紀の太刀(重要文化財)や寛正年紀の添銘のある作刀に名品が慧眼されることから、とりわけ『寛正則光』と称されて讃えられている。
 この打刀は太刀から打刀への移行期の姿をしており刃長に比して茎長短く、片手で操ることを念頭に製作された所謂、打刀への移行期の先駆であろう。元重ね頗る厚く刃肉ついて鉄味優れて鍛えがよく、匂口が締まりごころに冴える同工の典型といえるもので、とりわけ保存が優れ五百五十年余の年月を経た今尚健体を保持している。栗尻張った茎の保存状態よろしく鮮明な鑢を保ち錆味優れる。入念に刻された二字銘は今なお鏨枕が立ち、五郎左衛門尉則光の特徴が顕著。応永『盛光』の作域に比して遜色のない直刃出来の傑作である。

附)黒呂色塗鞘拵(拵全体写真 佩表佩裏 / 刀装具拡大写真
  • 縁:沙耶紋図、赤銅魚子地、無銘、角口頭
  • 目貫:七宝・蓑笠図、赤銅容彫、金色絵
  • 鐔:角形、無文、鉄磨地、水玉腕抜孔小透、無銘
  • 小柄:火薬入図、赤銅魚子地、高彫、色絵、裏哺金、無銘
  • 柄:白鮫着、黒色常組糸摘菱巻
銀地一重はばき、白鞘付属
参考文献
長船町『長船町史 刀剣図録篇』、大塚巧藝社、平成十年
藤代義雄『日本刀工辞典 古刀篇』、藤代松雄、昭和五十年