T55749(S5899)

刀 銘 備前国住長船祐定作 天文廿年八月吉日 附)黒梅花皮鮫研出鞘打刀拵

古刀 室町時代後期 (天文二十年/1551) 備前
刃長70.5cm 反り2.8cm 元幅31.7mm 元厚8.0mm 先幅21.6mm

保存刀剣鑑定書

附)黒梅花皮鮫研出鞘打刀拵

保存刀装具鑑定書(鐔)

10回まで無金利分割払い(60回まで)

剣形:鎬造り、やや低い丸棟。刃長延び重ねが厚く鎬筋が凛として高く、棟に向かい肉を削ぐ。元幅広く踏ん張りがあり、深い腰反りに先反りが加わり元先の幅差頃合いについて中峰延びる勇壮な姿。刃長常より長く、強靭な体躯をしている。(刀身拡大写真
鍛肌:板目肌が詰んで強く冴え、処々流れ肌を交じえてやや肌立つところがある。湯走り状の地沸が地斑調につき、鮮明な乱れ映りがたつ。
刃紋:匂い口しまりごころの焼刃は湾れに互の目乱れ、複式互の目、丁子刃を交えて小沸がよくついて、湯走り状の乱れ映り鮮明に、処々跳び焼きを交えて沸匂の闊達な働きがある。
帽子:焼強い湾れに小乱れを交えて中丸に返る。
茎:生ぶ。目釘孔壱個。僅かに反りがある。鑢目は勝手下がり、棟肉平で同じく勝手下がりの鑢目がある。栗尻張る。佩表の目釘孔下方鎬地には『備前国住長船祐定作』の長銘、裏には『天文廿年八月吉日』の年紀がある。
 長船祐定の名は、明応頃(1492~)の『彦兵衛尉』にはじまり『彦左衛門尉』から『与三左衛門尉』へと継承され、所謂『永正備前』と呼称される全盛期を迎えた。天文後年以降の祐定は『源兵衛尉』をはじめとして『次郎九郎』や『彦左衛門尉』を冠する祐定がおり、『末備前』と呼ばれる室町末期の備前鍛冶を代表する名流として知られている。
 同時代長船の作品中、祐定は乱刃の作を得意としているが、複式の互の目や湾れに互の目交じりや皆焼など、新興勢力の豪族や戦国大名の配下で婆娑羅の気風に応じた様々な刃文を熟すのも特徴である。
 この刀は長さが二尺三寸三分(70.5cm)あって、常にみるものより長く重ね頗る厚く棟に向かって肉を削いだ強靭な肉置きをしている。さらには腰反りに先反りが強くついた素早い抜刀を念頭に置く実利を念頭に制作された打刀様式は室町時代末期打刀の典型である。
 地鉄は板目を強く鍛えて、祐定が創始した匂い出来湾れ刃に複式の互の目を顕して、板目の鍛肌が総体に強く締まり、所々に流れ肌交じりやや肌立つところがある。細かな地沸よくつき乱れ映りが鮮明に立ち、妖艶且つ強く冴えた地鉄を呈している。刃中は湾足・葉が小模様にあらわれて、刃縁には小沸が厚くつき湯走り状の乱れ映りかかり、祐定の作中のうち沸匂の闊達な所謂『動』を呈して業物としての貫禄がある。
 茎仕立ては頗る丁寧で、しかも極めて保存状態が良い。本作は俗名こそないものの、神妙な銘文の鏨運びをしている。名のある戦国大名に仕える臣下の佩刀にふさわしいものである。
戦国時代を駆け抜けた武士たちがこの上なく愛蔵した祐定の打刀は、同工の優れた美意識と技量をいまの世に伝えている。

附)黒梅花皮鮫研出鞘打刀拵(拵全体写真刀装具拡大写真

  • 縁頭:雨龍図、赤銅磨地、高彫、金小縁、金色絵、銘 義一需 壽親(花押)
  • 目貫:菊束図、赤銅容彫、金色絵
  • 鐔:勝虫流水図、鉄地木瓜形、両櫃孔赤銅埋、銘 豊宗(花押) 保存刀装具(鐔)
  • 鞘:梅花皮鮫黒研出
  • 柄:白鮫着焦茶色常組糸諸撮菱巻

鞘全体を包む梅花皮鮫は、南洋で産するエイもしくは蝶鮫の皮を用い、刀剣外装の部材の中でもすこぶる高価なものであった。中でも表面を研出すと梅花文様になる梅花皮鮫がもっとも珍重された。
金着一重はばき、白鞘入り
参考文献 : 『長船町史 刀剣編図録』 長船町 平成十年