O125340(S2064)

刀 銘 備州長船法光 永正六年二月日

古刀 室町時代後期(永正六年/1509) 備前
刃長 60.6cm 反り 2.0cm 元幅 29.0mm 先幅 20.2mm 元厚 6.9mm

保存刀剣鑑定書

 

 

 

剣形:鎬造、庵棟尋常、寸つまり、元先の幅差やや開き、腰で反り、先反りが強くつき、中峰に結ぶ。(刀身拡大写真
鍛肌:小板目肌つみ、杢交え肌立ち、湯走り状の地沸ついて乱れ映りが鮮明に立つ。
刃紋:沸主調の腰開きの互の目を主調に丁子・小互の目・尖り刃など交えて、足・葉入り、沸よくつき、ほつれ、金筋・砂流しかかる。刃縁には小沸厚く微塵について一部の沸は地に溢れて跳び焼き状湯走りとなる。刃中は匂い深く充満して足よくはいり、長い金線や砂流し賑々しくかかるなど沸の闊達な働きがあり、地刃共に頗る明るく冴える。
帽子:焼き強く・高く乱れ込む。
茎:生ぶ、目釘孔二個。鑢目勝手下がり、棟肉平。刃上がり栗尻。指表第一目釘孔の中頃より下鎬地に『備州長船法光』、裏には『永正六年二月日』の年紀がある。

 法光は勝光・清光らと並び「末備前」もしくは「永正備前」と呼称される室町時代後期の備前鍛冶の中では作例が比較少ないものの、与三左衛門尉祐定や次郎左衛門尉勝光に双璧をなす技倆を示しているものに、「新左衛門尉」や「四郎左衛門尉」を冠する法光がいる。法光は優秀品といえども俗名をきらないものがあり、則光・祐光らと同一歩調とみることが出来よう。
 本作は頃合いの寸法に腰反り高くついた素早い抜刀に好適な姿。鎬高く棟に向かい鎬地をやや削いだ強固な肉置きは永正頃の打刀の典型である。俗名こそ添えられていないものの、良質な鋼を用いた鍛えは小板目肌がつみ、地錵が厚くついて乱れ映りが立ち、刃文に変化があり、賑やかで地刃ともに健全な一口で入念作であることは明白である。
 五百有余年を経た茎の鏨がやや底銘となり判別しずらい文字があるものの、地刃ともに健全で鍛錬・焼刃ともに豊かな働きが十分に楽しめる秀品である。
銀着せ祐乗鑢はばき、白鞘入り
注)中世末期、所謂室町時代中後期の打刀の体躯の特徴に、永正・大永(1504~27)頃は二尺~二尺一寸くらいの、寸法がつまって、片手打刀恰好のややズングリした姿が主体であり、これが享禄・天文(1528~40)頃になると刃長が二尺二寸台位に延びて、やや身幅が広く中峰延びごころの姿が多くなる。さらに時代が下り、元亀・天正(1570~91)頃の室町時代最末期になると寸法は二尺三寸以上、身幅広く、元先の幅差があまり開かずに、大峰に結び、茎の寸法も片手打ちから両手打ちへと移行する傾向が窺われ、上半には先反りの付いた頑健な打刀姿に変貌していく。
参考文献:
『長船町史 刀剣編図録』 長船町 平成十年
藤代義雄・藤代松雄『日本刀工辞典』藤代商店 昭和五十年
本間薫山・石井昌國『日本刀銘鑑』雄山閣、昭和五十年