T16606(W3393)

寸延短刀 銘 兼貞

古刀 室町時代後期(永正頃/1504~) 美濃
刃長 30.9cm 反り 0.1cm 元幅 29.1mm 元重 5.5mm

保存刀剣鑑定書

剣形:平造り、庵棟、重ねやや厚く僅かに反りがつく。元身幅広く元先の幅差さまで開かずにふくら張る強靭な造り込み(刀身拡大写真
鍛肌:板目に大杢交え棟寄り柾流れて総体肌たつ。地錵ついて板目・杢目状の地景が現れる強い地鉄。
刃紋:大互の目の腰刃は表裏よく揃い、わずかに湾れて広直刃。刃縁に小沸がよくついて刃中は厚く匂いを敷いて互の目の錵足が入る。棟には湯走りごころの棟焼きがある。
帽子:焼刃高く強く大丸となり、深く返って湯走り・棟焼きに繋がる。
茎:生ぶ、茎目釘孔一個。鑢目は大筋違、棟肉平。佩表には大振りの二字銘『兼貞』がある。

 美濃国、関の東郊に隣接する庄園、蜂屋(現、美濃加茂市蜂屋町上蜂屋)は室町時代初期は土岐氏の勢力範囲であり、刀剣需要が多い土地柄である。文明から明応(1469~92)にかけて『兼貞』、『兼正』らの直江志津一門が鞴を構えて『蜂屋関』一派をなし、京都達磨一派から『蜂屋達磨』らの来住を経て活況を呈するようになる。
 『兼貞』は『蜂屋関』の代表工で室町時代を通じて五代ほどが銘鑑に記され、『兼元』、『兼定』、『兼明』に次ぐ上作鍛冶として周知されている。永正から大永にかけての三代『兼貞』は右衛門尉を名乗り、初代兼定門人で和泉守を受領したという。
 この寸延短刀は硬軟の鉄を鍛えた杢目交じりの大板目の地鉄がよく練れて、鮮明な地景による渦巻き肌が表れて迫力があり、刃文は裁断に適した広直刃に、打ち合いに備えての棟焼きを施す強靱な焼刃の構成は実利を重視したもので凄味がある。
時代銅二重はばき、白鞘入
参考文献:
本間薫山、石井昌國『日本刀銘鑑』、雄山閣、昭和五十年
杉浦良幸・鈴木卓夫『室町期 美濃刀工の研究』里文出版、平成十八年

注) 現代の刀剣類登録制度の規定により、登録証と鑑定証には『脇指』と記載されています