G68113(T5802)

短刀 銘 藤原兼房作 (棟)兼氏 平成五年五月五日吉祥日

現代刀 (平成五年/1993) 岐阜県
刃長 25.0cm 無反り 元幅 26.0mm 元重 6.0mm

附)共箱

剣形:平造り、庵棟。身幅尋常に、重ねが厚くふくら枯れごころ。表裏には掻き流し棒樋の彫物がある。(刀身拡大写真
鍛肌:地鉄は詰んだ小板目鍛えに杢を交えた板目肌が顕れ、刃寄りと帽子辺りは流れ柾となり刃中に流れ込む。総体に粒の精細な地沸が微塵について明るく煌めく強靭な地鉄をしている。
刃紋:沸出来の互の目の刃縁には精細な沸が厚く積もり、刃中の匂い深く敷いて明るく冴える。互の目足は角度に変化があり、丁子刃となる処があり、処々尖りごころの刃を交えて匂口明るく、僅かに砂流しかかる。。
帽子:乱れ込んで先小丸に掃きかけて僅かに返る。
茎:生ぶ。目釘孔壱個。鑢目勝手下がりで浅い栗尻。表の目釘穴棟寄りに大振り五字銘『藤原兼房作』、棟の小肉ついて勝手下がりの鑢目があり、『兼氏』合作銘の切付がある。差裏には吉祥年紀『平成五年五月五日吉祥日』がある。

 二十四代藤原兼房、加藤孝雄氏は、初代兼房が室町時代に『兼房乱れ』を創始して以来、兼定・兼元に列ぶ優工として美濃刀を代表する刀鍛治の系譜を継承している。
 大正十一年九月八日生まれ、昭和三十年11月2日(1955)に作刀認可。熱田神宮、伊勢神宮奉納、第六十三代横綱・旭富士の太刀を鍛刀。平成二年(1990)に関市長表彰受賞、同七年(1995)には美濃伝日本刀鍛練技法の保持者として岐阜県重要無形文化財保持者となり美濃伝の伝承に尽力した。平成二十五年八月二十八日(2013)に鍛刀一筋の生涯を終えている、享年九十歳。

 この短刀は、二十四代兼房の平成五年、七十一歳の円熟作。棟に『兼氏』と切付があることから、実弟の刀匠・加藤 実 氏との合作である。地沸が厚くつき、地景豊かな精緻な地鉄に沸出来の互の目が焼かれ刃中の沸と匂いともに厚く・深く明るく冴えている。
『御守刀』、『関市重要無形文化財』『藤原兼房』落款の共箱が付されている。

 美濃伝『兼房』の系譜は次男の二十五代加藤賀津雄氏、二十六代の加藤正文美氏に受け継がれ、親子合作で平成二十九年に第七十二代横綱・稀勢の里の太刀を制作している。
銀はばき、白鞘入、短刀袋、共箱付属