形状:平造、三ツ棟、身幅尋常、やや内反りの端正な姿形。(
刀身拡大写真)
鍛:小板目やや肌たち流れごころとなり、地沸ついて白気ごころの映りがたつ。
刃文:元焼きだしに僅かな節ごころをみせ、沸出来の直刃には僅かに鼠足・金筋かかり、刃中は匂深く霞み古雅な焼刃。
帽子:尖りごころの小丸となりやや深く返る。
茎:生ぶ、振り袖形。先刃上がり栗尻、鑢目勝手下がり、目釘穴壱個。表中央に大振りな二字銘がある。
山城国の了戒は来国俊の子と伝えられ、正応、嘉元、延慶、正和などの年紀作が確認されている。太刀、短刀ともにあるが太刀では熱田神宮所蔵の『了戒 嘉元元年二月日 山城国住人九朗左』(重要文化財指定)がある。
この短刀はやや内反りとなり、振袖風の茎には大振りに二字銘『了戒』と鏨を運ぶ古雅溢れる作域を魅せる。直刃仕立ての刃縁は小沸がよくつき、鍛にやや柾ごころをみせるなど同工の特徴を明示する稀有の在銘品で好資料である。
金着一重はばき:
潤塗印籠刻鞘肥後短刀拵金無垢二重最上はばき:
白鞘入り(本間薫山先生鞘書)