G23831(W3217)

脇指 無銘 長船小反 附)潤塗鞘脇指拵

古刀 南北朝時代 (永和頃/1375~) 備前
刃長 41.2cm 反り 1.2cm 元幅 27.4mm 先幅 27.0mm 元厚 7.5mm

保存刀剣鑑定書

附)潤塗鞘脇指拵

 

 

剣形:鎬造り、庵棟。身幅広く元先の幅差目立たず反り浅めにつき大峰に結ぶ。鎬筋凛として高く、棟の重ねが薄い。鎬地に比して平地の広い体躯に、平肉つかず棟にむかって肉を削いだ造り込みをしている。(刀身拡大写真
彫物 : 表には添樋を掻き流し、裏は添樋を茎に掻き流し、不動明王の梵字の彫り物がある。
地鉄:大板目に杢目交えて流れるやや肌立ち気味に鎬筋側に淡く映りがたつ。
刃文:片落ち互の目、箱がかった刃や尖りごころの刃は総体に匂口締まりごころに小沸よくつき刃境には細やかな砂流しかかる。
帽子:焼き高い互の目乱れ込んで先尖り返り深く棟焼きにつながる。
茎:大磨上、無銘。先浅い栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔弐個。
昨今の保存審査で小反と鑑定された大切先の脇指。大磨上げ無銘ながらも切先は106㍉と長寸で南北朝時代の典型姿をしている。小反鍛冶は南北朝中期から末期に跨がり活躍した長船鍛冶の呼称。南北両朝の戦乱は全国に広がり需要の増大に応じて長船鍛冶の兼光や長義一門の正系やその弟子たちに従属した刀工群らを指し、一派には守家、秀光、家守、家重らのあまたの刀工群を輩出しておおいに繁盛した。この時代は鍛刀技術が優秀であり相伝備前に属した同派作品の刃文は片落風互の目がやや小ずんみ、淡く映りがたち備前物の特長が顕著である。
この脇指は南北朝期の典型的な姿を呈し、古研ぎで処々に轢跡・薄錆があるものの、元先の身幅張り、鎬筋が凛として高く、焼刃明るく冴え、地には春霞の如く映りが観取され、地刃共に健全な一口である。

附)潤塗鞘脇指拵(拵全体写真刀装具各部写真

  • 縁頭:波図、赤銅高彫、毛彫、無銘。水牛頭
  • 鐔:平安城、菊花形、鉄地、鉄線唐草図、真鍮象嵌、無銘
  • 目貫:鴛鴦図、山銅地容彫、金色絵
  • 小柄:床柱、山銅地、高彫、色絵、東雨と銘あり
  • 柄:白鮫出着


時代鞘には処々に擦れや割れ痕があります。
金着せ二重はばき、白鞘入り