F90280(S8111)

太刀 銘 筑前国瀬戸吉広作 昭和六十三年春 附)黒蝋色漆塗鞘勝虫図天正拵

現代刀(昭和六十三年・1988) 福岡県
刃長78.9cm 反り3.3cm 元幅34.9mm 先幅23.8mm 元重8.0mm

附)黒蝋色漆塗鞘勝虫図天正拵

メール問い合わせ

10回まで無金利分割払い(60回まで)

剣形:鎬造り、庵棟、寸延びて身幅広く、重ね厚く、踏ん張りがあり腰反りが深くついて猪首切先に結ぶ。表裏には掻き流しの棒樋の彫物がある。(刀身全体写真
鍛肌:小板目肌が精緻に詰んで小粒の地錵が微塵について地肌潤う。
刃文:互の目丁子乱れ。大房丁子、小丁子が複式に入り乱れて重花丁子となり、一部は鎬筋にまでとどく。刃縁は小沸よくついて刃縁しまりごころに明るく冴え、刃中は匂充満して澄んで此所に砂流しかかり、逆丁子足が刃先に向かい延びて頻繁に働く。
中心:生ぶ。目釘孔壱個。鑢目は大筋違、茎尻は栗尻。指し裏(太刀銘)で『筑前国瀬戸吉広作』、裏には『昭和六十三年春』の年紀がある。
帽子:乱れ込んで中丸に返る。
 刀匠、瀬戸吉広は昭和二十年(1945)生まれ、初め人間国宝、宮入昭平に学び、昭和四十六年には同じく人間国宝である隅谷正峯師に師事して備前伝を習得した。昭和五十二年四月に作刀承認を受けて独立、鍛刀場を開設した。日本美術刀剣保存協会主催の新作名刀展に於いて寒山賞・会長賞・文化庁長官賞などの特賞を連続受賞し、平成八年には刀匠の最高位である無鑑査に認定されています。
 本作は瀬戸吉広氏、四十三歳の作である。本伝である鎌倉時代の古名作である福岡一文字を再現した豪壮な太刀姿に、小板目肌が精緻に良く詰み、刃紋は高低差のある重花丁子刃を頗る明るく焼いている。同氏は尚活躍中で、古作一文字備前伝の最上の技量を現代に伝える巨匠である。
 附帯の
黒蝋色塗鞘勝虫図打刀拵は戦国期の武用本位の平常指しとして堅牢性を高めて作られた天正様式を蹈襲しており、総体的に簡素かつ機能的でありながらも、縁、頭、目貫、鐔および小柄を勝虫の揃い金具を使用し佩裏には小柄櫃を設けており、豪華な桃山拵様式を採り入れている。白鮫着金茶細糸蛇腹菱巻柄は頭が大きく胴を僅かに絞って立鼓を持たせ、鞘は黒漆をかける。栗形はやや大振りで頑丈に造られて、逆角は棟方に寄せて付けられて、栗形・鯉口・鐺共に角製。
金着せ二重はばき、白鞘付属