A72692(S2822)

刀 無銘 伝冬広 附)黒漆塗鞘雲龍図打刀拵

古刀 室町時代後期(明応頃・約500年前)若狭
刃長68.7cm 反り1.9cm 元幅29.7mm 元厚6.8mm 先幅24.1mm

保存刀剣鑑定書

附)黒漆塗鞘雲龍図打刀拵

 

剣形:鎬造り、庵棟。腰元で反り、茎にもやや反りがある。平地の広い造り込みで先の身幅が張り、中切先のびた勇壮たる姿をしている。表裏に二筋樋の彫物がある。
鍛肌:板目肌に杢目を交え、刃寄りに流れる鍛肌を交える。鉄青く澄んで地沸厚く付き、一部の湯走りは沸映りとなり地斑調に浮んで乱れ映りが発つ。
刃紋:沸厚く絡んで湾れに腰の開いた互の目、跳び焼かかり、総体に粗沸が付いて刃中に金線、砂流し、頻りとかかり明るく冴える。
中心:生ぶ、無銘。茎は舟底風となり、茎尻は栗尻。茎孔弐個、鑢目は浅い勝手下がり。
帽子:先は火炎風に乱れ、掃きかけて、跳び焼がある。
冬広は相州広次の三男と伝え、寛正、1460年頃に若狭国の小浜に移住した。初二代は本流である沸本位の相州伝を主調としながらも、隣国の影響を受けて備前伝を採り入れている。本作の地鉄はやや青黒く見え、鍛刀法は板目がよく詰んで、処々地沸がついて地景が現われている。刀は総体に腰元で反り、上半の反りはやや浅めで中切先の伸びた姿で、平肉を削いだ造り込みをしている。茎は「舟底風」となるのも特徴である。湾れに腰開き互の目主体の焼刃はやや粗めの強い沸が付き、沸足が入り、刃中に葉が舞う。これらの沸足を横切って金線、砂流しや稲妻が元から先までに長く顕れて刃中の働きは激しく、刃縁には粗めの沸が絡んで平地に湯走りかかり、跳び焼かかるなど皆焼風となる。これらの相州伝の焼刃は上部に行くにしたがって華やかとなり沸に匂が深く付いて明るく、跳び焼や湯走りと呼応して強く沸映りかかり、明るく冴えて美景である。
附帯の黒漆塗鞘雲龍図打刀拵は白鮫着黒摘巻柄、赤銅地金色絵雲龍図縁頭、金無垢地這龍図目貫、鉄地真鍮覆輪花弁透鍔
金着二重はばき、白鞘付属