A72695(S8883)

刀 無銘 伝直江志津

古刀 南北朝時代(応安頃・約650年前) 美濃
刃長71.6cm 反り1.6cm 元幅28.4mm 元厚6.5mm 先幅20.4mm

保存刀剣

 

剣形:鎬造り、庵棟。身幅、重ねともに尋常で、元先の身幅の差があまり開かず先張って中峰に結ぶ。勇壮かつ強固な打刀姿で茎に掻き流しの棒樋の彫物がある。
鍛肌:地肌は板目肌よく錬れて地沸厚く微塵に付いて、一部は湯走りとなり、地景が沸く。
刃紋:沸本位の湾れを基調に互の目を交えて刃縁には太い金線、稲妻が入り、湯走り、二重刃やほつれる様相をみせる。匂口は頗る明るく冴える。
中心:磨上げ、無銘。鑢目は勝手下がり。茎尻切。目釘孔三個。
帽子:直調子に中丸に返る。
初代の志津兼氏の門人が南北朝期に直江村に鍛刀の拠点を移し活躍したことにより、その刀工群を総称し、直江志津と呼ぶ。兼友、兼俊、兼延などは直江志津の代表的な刀工である。美濃刀でありながら大和伝に相州伝を加えた独特の地刃は、時に志津三郎兼氏のような傑作も生まれている。南北朝期を彷彿とさせる威風堂々たる体躯を湛え、深淵より湧き出すがごとく錬れた板目鍛えに地沸を厚かつ微塵に敷いて、地景が縦横無尽に湧き出す地鉄は格調高い。刃文、浅く湾れて、互の目を交え、一部に尖りごころの刃を交じえ、沸厚く微塵につき、金筋、稲妻が長くかかり、匂口がとても明るい
降り積る新雪の如く明るく輝き冴える匂い口は正宗のそれに優るとも劣らないと云われ、吸い込まれるような鉄(かね)のうつくしさは志津、およびその一門の作以外には紛れない。
この刀は、地・刃の出来に志津と相通ずるものがあり、昨今の審査で直江志津と極められた。
金着せ二重はばき、白鞘入り。