Y2871(S8881)

刀 信濃守藤原信吉 附)青貝微塵散竜田川図鞘打刀拵

江戸時代前期(延宝頃・約330年前)山城
刃長73.9cm 反り1.4cm 元幅32.4mm 先幅20.2mm 重ね8.0mm

保存刀剣

 

三品系、伊賀守金道の一族。名を高井金三郎、京の油小路に住した。はじめ「藤原」を冠し、のちに「源」と改める。次弟の越前守信吉と末弟の阿波守信吉はを摂津に移住し、丹波守吉道らと共に三品鍛冶の発展に尽くした名工として知られる。本作は二尺四寸四分と寸延びて身幅が殊に広く、重ねも極厚く、しのぎ筋が強く立ち、平肉豊かについて、どっぷりと重量のある豊満な体躯を湛えた頑強な造り込みをしており、質実剛健たる尚武の求めによる作風を示している。地鉄は小板目肌が詰んで杢交じり、刃寄りに柾がかるさなかを焼刃が走る。微細な地沸が湧だし肌潤う。刃文は直刃に浅い湾れ、小互の目を交え、小沸つき匂口明るく、小足が無数に入り、刃中は匂で充満して澄む。帽子は直ぐにふくらに沿って中丸にやや深く返る。付帯の竜田川青貝微塵散打刀拵は紅葉図を鞘全面に精緻に散らし装飾の要とし、鉄地の縁、頭、こじり、鍔ともに同作の雨竜図と菊花を金銀の布目象眼で現した粋なもので、武勇たる打刀を優美可憐な竜田川拵で飾る粋な拵。高位の武家に大切に伝承されたものであろう。内外ともに極めて保存状態が宜しいことが特筆できる完存たる佳品。
時代金着はばき(金着上端に剥痕あり)、白鞘付帯。