Tuba2770a

Shiguretei Openwork Tsuba

unigned Tosa Myouchin

Oval shape openwork, Iron ground, polish surface, Well-contoured round Mimi Edge, Both Hitsu-ana punches

Late Edo period(19th C.)

81.5mm x 78.6mm 6.4mm thick (Seppa-dai)

NBTHK(Tokubetsu Hozon) certificate

『時雨亭』は京都高台寺の境内にある二階建ての茶室で利休好みとして知られる。もと伏見城内にあったものを移築したという。『時雨亭』の題材は正阿弥派、赤坂をはじめ、土佐明珍などの町彫金工等によって造られている。赤坂派各代の手による作品は東屋に楓、時雨亭の額を配するだけの簡素な作風が特徴であるが、正阿弥派の作では柴垣や蔦などの意匠を加えて彫っているものがある。

 この鐔は赤坂鐔に範を採ったものであろう。赤坂原型の『時雨亭』の素朴な画題に範を採り、耳は丸く切羽台から徐々に平肉を削いで碁石形に肉置きして漆黒錆地の鉄色優れる。江戸詰めの藩士らの小柄・笄を用いる大小指の慣習が定着したことにより、櫃孔は大きくなり、左右櫃孔の配置は意匠に配慮してやや均衡をはずしているのも赤坂派の特徴が顕著。本鐔は無銘ながらも、額に『雨時』と刻することから土佐明珍の作と鑑定された。

文化頃(1810~)の明珍利雄は赤坂七代忠時に師事して丸形鉄地に鶴丸や時雨亭の地透鐔を製作している。